
まあさんのジャーニー
まあさんのプロフィール
患者との関係性 本人
病気発症時のご年齢 ~10代
性別 女性
居住地区 北海道
病名 重症筋無力症9
診療科 脳神経内科
治療箇所/部位 全身
初期症状 幼いころから疲れやすい子供でした。初めておかしいと感じたのはテストの時、突然文字が2重になってみえた時です。
- 1980年4月
- 初期症状
- 診察のきっかけ
- 病気判明
- 確定診断
- 1990年8月~
2024年9月- 選択肢
- 方針決定
- 1990年8月~
9月- 治療前の準備
- 治療中の出来事
- 治療の感想
- 治療後の経過
- 治療後の結果
- 2024年10月
- 感想
- 伝えたいこと
まあさんの体験談
病気の診断
初期症状が現れた時期:1980年4月 病気判明の時期:1990年7月
初期症状
幼いころから疲れやすい子供でした。初めておかしいと感じたのはテストの時、突然文字が2重になってみえた10時です。
診察のきっかけ
教科書の入ったバッグを持てなくなり、よく躓いたり、顎がすぐに疲れて噛めなくなる11ので手で押さえながらたべるようになり、心配した母が小児科医に相談しました。
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検査
かかりつけの小児科から大きな病院を紹介されすぐに行きました。
抗アセチルコリン受容体抗体の有無を調べ、筋電図検査をし、おそらく重症筋無力症だろうと言われ、2週間後の検査入院が決まりました。
病気判明
入院中、CT、気縦郭造影検査12、筋電図、テンシロンテスト13などをして確定診断を受けました。
医師からは「大変な病気です。今後は今までのような生活を続けることは難しいでしょう」と言われました。
でもわたしは幼い頃から色々なと症状と付き合っていたので、「きっと大丈夫、治療をがんばろう」と前向きに考えていました
治療方針の検討
検討時期:1990年8月~2024年9月
選択肢
1990年当時は治療の選択肢が今ほどありませんでした。
1 胸腺摘出術
2 その後はステロイドやコリンエステラーゼ剤の服薬治療
3 ステロイドパルス
をしましょうと言われました。
私は抗アセチルコリン受容体抗体が陰性だったので、血漿交換療法は選択肢にありませんでした
2010年頃~
4 グロブリン14
2022年頃~
5 ウィフガート
6 ヒフデュラ15
選択肢が増えてからは 治療効果や副作用、入院するか通院でするか?など考慮し、自身で治療法を選択しています。
方針決定
治療方針は主治医と両親が決めました。
まず一日でも早く胸腺を摘除する必要があること、胸腺をとれば元気になれると聞いて
元気になれるなら何でもトライしよう!と思いました。
治療のプロセス・結果 胸腺摘出
治療の時期:1990年8月~9月
治療方法:胸腺摘出16
治療前の準備
術後、痰をうまく出せるようにと、息を吐いてボールを動かす器具での呼吸訓練があったのですが、呼吸が苦しくて上手に動かすことができず苦労しました。
手術に関する詳しい話は私には一切ないまま当日を迎えました。
ただ、傷はなるべく小さく、きれいに仕上げるからねと言われ、年頃の私はホッとしたのを覚えています。
治療中の出来事
手術を終え目が覚めると気管挿管されていてとにかく喉がカラカラに乾いて苦しかったです。
声も出ず、首も腕も自力では動かすことも出来ず、唯一動いた目で周りを見渡すと、そこが集中治療室だということがわかりました。
苦しい!と思ったらまた意識がなくなり、次に目覚めたら翌朝でした。
一般病棟に戻るころには気管の管は抜かれましたが、全身の脱力がひどく、首をうごかすこともできなかったのでただ天井を眺める毎日でした。
手術をすれば元気になれると聞いたからがんばったのに、やらなきゃよかったと悲しくなりました。
治療等の感想
術後、服薬治療が始まり2週間ほどすると、今までが嘘かのように体の脱力がなくなり、歩けるようになりました。
もう治った!と思いましたが、追加治療を受けたところ、また動けなくなり、その後数年は寝たり起きたりの毎日を過ごしました。
治療等の経過
診断を受けてから34年になります。
この10数年で治療の選択肢が増え、私も様々な治療を受けられるようになりました。
今は転倒防止のため足に装具を着け、杖を使い歩行していますが、
薬がよく効いてると、たまに体を動かすのがすごく楽な時があるんです。
自分の体に合う治療法や間隔を探り、元気に過ごせる日が一日でも多くあればいいなと思っています。
感想と伝えたいこと
感想
病気になると、できないことや辛い症状ばかりにとらわれてしまいがちです。
私自身も最初はそうで、当時の日記をみると愚痴や悩みを書いてばかりでした。
それでもある時から、楽しかったことや達成できたことで日記を終わらせようと心掛けるようにしたんです。
「10分、手芸をできた」「散歩にいけた」など。
今日の良かったことで締めくくることで、「明日も頑張ろう」と思えるようになりました。
伝えたいこと
私が診断を受けた1990年当時と比べると、近年は治療の選択肢が増えました。
まだまだ完治は難しい病気だけど、うまく病気と付き合っている患者もたくさんいます。
悲観せずに過ごしてほしいなと思います。
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Footnotes
- 【注釈】筋肉は脳からの「動け!」という命令を神経を介して受けて初めて動けます。その命令を神経から筋肉に引き継ぐコンセントの部分に故障があると、命令が届きませんので筋肉は動けません。コンセントの不都合が軽い時には軽症ですが、不都合が大々的であると筋肉はほとんど動けませんから、それが呼吸器に来ると呼吸困難になり一大事です。重症筋無力症は、このコンセントの筋肉側に問題がある病気です。
- 【注釈】眼の症状には眼瞼下垂(瞼が下がる)や複視(物が二重に見える)があります。
- 【注釈】症状が全身に及ぶと、疲れやすい、手足の筋力低下、発語障害(上手くしゃべれない)、嚥下障害(食べ物が嚙めない、のみ込みにくい)などの症状が出ます。
- 【注釈】CTと気縦郭(縦隔気腫)造影検査では胸腺の状態をみたのでしょう。
- 【注釈】重症筋無力症の診断には、[1]血液検査、[2]神経電気生理検査、[3]テンシロン試験があります。
[1]血液検査では、約8割で陽性となる抗アセチルコリン受容体抗体と呼ばれる物質の測定を行います。陰性の場合は、抗Musk抗体などほかの抗体を調べます。
[2]神経電気生理検査では神経に弱い電気刺激を繰り返し加える反復筋電図検査というものがあります。脳からの命令の代わりに、神経に電気刺激を与えると筋肉が収縮するのです。繰り返して刺激を与えて反応を観察します。健康な人では何度も強く収縮しますが、重症筋無力症の人では筋肉の収縮がだんだん弱くなるのです。
[3]テンシロン試験:コリンエステラーゼ阻害薬のテンシロンは元は商品名ですが、現在では検査名になっています。本検査では、テンシロンを静脈注射すると、それまで寝た姿勢では頭を持ち上げられなかった患者が、短時間ですが、筋肉に力が入って頭を持ち上げられるようになるのです。 - 【注釈】グロブリンとは免疫である抗体としての機能と構造をもつタンパク質で、血液中や体液中 に存在します。コロナワクチン接種の時に、ワクチンを受けると抗体の量が上がり感染しにくい、と聞いたことがありますね。あれです。
- 【注釈】ウィフガートは2022年5月から発売された、全身型重症筋無力症と慢性特発性血小板減少性紫斑病の治療薬。ヒフデュラは2024年1月から発売された、全身型重症筋無力症の治療薬。
- 【注釈】重症筋無力症患者の約15~20%で胸腺腫が合併しています。その場合には、外科的にこれを取り除きます。胸腺腫は早期に発見されれば一括して切除できる生命予後 の良い腫瘍です。
- 【注釈】筋肉は脳からの「動け!」という命令を神経を介して受けて初めて動けます。その命令を神経から筋肉に引き継ぐコンセントの部分に故障があると、命令が届きませんので筋肉は動けません。コンセントの不都合が軽い時には軽症ですが、不都合が大々的であると筋肉はほとんど動けませんから、それが呼吸器に来ると呼吸困難になり一大事です。重症筋無力症は、このコンセントの筋肉側に問題がある病気です。
- 【注釈】眼の症状には眼瞼下垂(瞼が下がる)や複視(物が二重に見える)があります。
- 【注釈】症状が全身に及ぶと、疲れやすい、手足の筋力低下、発語障害(上手くしゃべれない)、嚥下障害(食べ物が嚙めない、のみ込みにくい)などの症状が出ます。
- 【注釈】CTと気縦郭(縦隔気腫)造影検査では胸腺の状態をみたのでしょう。
- 【注釈】重症筋無力症の診断には、[1]血液検査、[2]神経電気生理検査、[3]テンシロン試験があります。
[1]血液検査では、約8割で陽性となる抗アセチルコリン受容体抗体と呼ばれる物質の測定を行います。陰性の場合は、抗Musk抗体などほかの抗体を調べます。
[2]神経電気生理検査では神経に弱い電気刺激を繰り返し加える反復筋電図検査というものがあります。脳からの命令の代わりに、神経に電気刺激を与えると筋肉が収縮するのです。繰り返して刺激を与えて反応を観察します。健康な人では何度も強く収縮しますが、重症筋無力症の人では筋肉の収縮がだんだん弱くなるのです。
[3]テンシロン試験:コリンエステラーゼ阻害薬のテンシロンは元は商品名ですが、現在では検査名になっています。本検査では、テンシロンを静脈注射すると、それまで寝た姿勢では頭を持ち上げられなかった患者が、短時間ですが、筋肉に力が入って頭を持ち上げられるようになるのです。 - 【注釈】グロブリンとは免疫である抗体としての機能と構造をもつタンパク質で、血液中や体液中 に存在します。コロナワクチン接種の時に、ワクチンを受けると抗体の量が上がり感染しにくい、と聞いたことがありますね。あれです。
- 【注釈】ウィフガートは2022年5月から発売された、全身型重症筋無力症と慢性特発性血小板減少性紫斑病の治療薬。ヒフデュラは2024年1月から発売された、全身型重症筋無力症の治療薬。
- 【注釈】重症筋無力症患者の約15~20%で胸腺腫が合併しています。その場合には、外科的にこれを取り除きます。胸腺腫は早期に発見されれば一括して切除できる生命予後 の良い腫瘍です。
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