クローン病の体験談【こまちさん】

【BC026】
  • 当サイトは、個人の貴重な経験を発信・共有することを目的としています。最新の医学情報・治療方法などの情報を提供するものではありません。病状や経過、治療への向き合い方などはそれぞれ異なりますので、必ずご自身の主治医と相談してください。
  • 体験談は医師によるチェックを行っており、明らかな間違いや誤解を招くような表現はないようにしていますが、なるべく発信者の生の声をお届けするために訂正は最小限にとどめています。

こまちさんのジャーニー

こまちさんのプロフィール
患者との関係性   本人
病気発症時のご年齢 10代8
性別        女性
居住地区      北海道

病名        クローン病9
診療科       小児科→消化器内科
治療箇所/部位   食道、小腸、大腸
初期症状      診断を受ける1年前から、ご飯を食べた時に飲み込みづらい、喉に食べ物がつっかえるような感覚がありました。

こまちさんのジャーニー

こまちさんの体験談

病気の診断

初期症状が現れた時期:2015年9月 病気判明の時期:2016年9月

初期症状

診断を受ける1年前から、ご飯を食べた時に飲み込みづらい10、喉に食べ物がつっかえるような感覚がありました。また、食べたものがそのまま出てくるような消化不良の症状もありました。また、2017年に入ってから結節性紅斑11が足に現れるようにもなりました。 

診察のきっかけ

結節性紅斑が出来た時に、かかりつけの病院からは「問題ない」と言われたのですが、調べると何かの病気の合併症として出ることがあるとのことだったので、何かあったら困るのでということで改めて大きな病院に行ってみることにしました。 

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病気判明

当時は部活動が辛かったので、病気が診断されて悲しいという気持ちは当然にあったのですが、部活が休めるということでホッとした気持ちもありました。また当時、体調が辛い時は周りに相談しても、「気のせい」という扱いをされてしまって流されてしまうことが多かったのですが、確定診断12を受けたことで自分の感覚は間違っていなかったこと、原因不明だった症状に名前がついたことでと安心する気持ちもありました。 

治療方針の検討

検討時期:2016年9月

選択肢

クローン病の炎症が悪い状態だったので、選択肢はなく、絶食療法となりました。食事を制限し、不足分は栄養剤で補う療法です。また、並行して服薬等による治療も行いました。 13

方針決定

状態が悪かったので検討に対し意思決定をするタイミングはなかったです。当時は食事に拘りもなかったので、お腹が痛いのが治るならと、抵抗感なく治療に進みました。 

治療のプロセス・結果 絶食療法、服薬

治療の時期:2016年9月~2017年4月

治療前の準備

確定診断を受けるタイミングで検査入院等を行ったことでクローン病と確定診断を受けました。 
その後、半年間の入院になることを告げられました。その際は必要なものを順次持っていけば良い、ということだったので準備には特段苦労はしませんでした。 

治療中の出来事

クローン病で入院していた時期が受験期間であり、半年間治療などで病院から出られなかったので元々行きたかった高校への進学を諦めました。そのことは印象深かったです。 
また、入院した病院はクローン病に特化した病院であり、同世代の同じ病気の子どもが多かったので、皆でゲームをしたり、情報交換したり友達みたいに過ごしたことも印象に残っています。 

治療等の感想

クローン病の治療の際、絶食となるため栄養を点滴で補給しなくてはならなかったのですが、期間が半年と長期に渡るため腕ではなく鎖骨の下に穴を開けてカテーテルにて点滴する14必要がありました。同病の病院で知り合った友達から「最初は痛いけど2週間もしたら痛くなくなる」ということを事前に聞かされていたのですが、本当に痛すぎて寝返りも打てないし首も尋常じゃないぐらい痛い、友人の言う通り2週間ずっと痛みが続きました。この痛みが一生続くのではないか、、と不安になったこともありましたが、、2週間経つと痛みはほぼ感じなくなっていました。友人の「2週間」という言葉を事前に聞いていたからなんとか耐えられたので、情報をもらっておいて良かったなと思いました。 

また、もう一つ辛かったのは、退院にあたっての食事関連についてのことです。おかゆからスタートし、どんどんと固形物を増やして問題なく食べられるようになったら退院、という説明を受けていました。一度B食(普通のご飯)まで食べられるようになったのでそのままとんとん拍子に進むと考えていたのですが、その後炎症数値が上がってしまったことで絶食に逆戻りしてしまったのが、自分にとって非常に辛く感じました。 

治療等の経過

退院が近づいてきたことで終わりが見えない洞窟から光が見えたように感じました。その結果当時、病院には仲のよい子が多かったので、みんなとお別れすることを寂しいと感じる余裕も生まれました。 
また私が退院することを聞いて、友達がお見舞いに来てくれたのも非常に嬉しく感じました。 
退院する頃には腹痛も収まりつつあり、胸のつかえもなくなっていき、自分の体に対して違和感なく過ごせるようになっていました。そして退院直前の検査にて異常なしとの診断があった時には、「やっと病気になる前の生活に戻れる」と安心したのとワクワクしたのを覚えています。 
退院後、帰宅をして自宅で普通に生活出来たことがまずとても嬉しく感じました。一方で、退院した時がちょうど学校卒業の時期と被っていたのですが、体力の低下が著しく、長時間座ることが難しかったり、周りの人が普通に出来ていることが普通に出来ないことでギャップも感じ、そのことが苦しくも感じました。 

感想と伝えたいこと

感想

当たり前なことなんてないんだ、ということは非常に感じています。「親に感謝しなさい」「当たり前のことに感謝しなさい」とよく言われてはいたのですがあまり気にしてはいませんでした。しかし、いざ病気になった際には普通だとされていることはとても幸せなことなんだなと感じれるようになりました。親に対しても、忙しいのにも関わらず、毎日仕事終わりにお見舞いに来てくれることが本当に有難かったですし、受験前なのにも関わらずお見舞いに来てくれる友達にも有り難いと感じました。 
このようなことは人から言われたとしても想像ができずピンとこないことだと思いますが、自分自身が病気を経験して実際に人の有り難みを実感し感謝の気持ちを抱いたからこそそのように感じられるんだと思いました。 
病気になって得られたものは非常に大きいと思っています。当たり前だと言われていることの有り難さを再確認出来たこと、そして自分がいかに周囲の人に支えられているかが感じる事が出来、感謝の気持ちを得られたことは本当に大きな学びだと思います。なので病気が治ったらいいなと思うことはありますが、病気にならなければよかったと思うことはありません。 
病気になると不幸だと思われることは多いかもしれませんが、私の場合は病気になった後の方が人生が豊かになりましたし、大切なことに気付けたので、価値のある経験だったと思っています。 

伝えたいこと

病気となると、事態を重く捉えすぎてしまい、一生このままなのではないか、という気持ちになってしまうと思いますが、どれだけ苦しい病気や難しい病気だったとしても、一番悪い状態よりは改善していくし、病気になったことで学べることも出てくると思います。病気になった直後はそこまで頭が回らなくなると思いますが、そこまで事態を重く捉えずに、将来絶対に良いことがあるんだと心に留めておいて欲しいと思います。 
また、無理をしてしまうのが病気にも自分の心にも良くないと思うので、自分に優しく、自分のペースでゆっくり焦らずに病気と共に生活をして欲しいと思います。 

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Footnotes

  1. 【注釈】10歳代~20歳代の若年者に好発します。発症年齢は男性で20~24歳、女性で15~19歳が最も多くみられます。男性と女性の比は、約2:1と男性に多くみられます。
  2. 【注釈】口腔から肛門までの全消化管に、非連続性(飛び飛びに)の慢性の炎症が生じる原因不明の病気です。いわゆる自己免疫疾患で難病に指定されています。
    潰瘍性大腸炎とほぼ同じような病気なのですが、潰瘍性大腸炎が大腸のみに炎症が発生するのに対し、クローン病ではすべての消化管に炎症がおきます。
    腹痛と下痢が半数以上の患者さんでみられます。発熱、下血、体重減少、 全身倦怠感 、貧血、腹部腫瘤などの症状が出現します。また、腸管に瘻孔 (穴が開く)、 狭窄 、 膿瘍 などがおきたり、嚥下障害(のみ込みにくい)の自覚症状の合併もあります。くわえて、関節炎、虹彩炎、 結節性紅斑、肛門部病変など腸管以外の症状が出る場合があります。
  3. 【注釈】嚥下障害は良く知られている症状の一つです。
  4. 【注釈】下肢前面に出る紅斑で感染によります。以前は結核との関連性が指摘されていましたが、最近では小児の連鎖球菌感染症、サルコイドーシス、炎症性腸疾患が注目されています。
  5. 【注釈】臨床症状でクローン病を念頭に置き、小腸内視鏡、カプセル内視鏡、MRI、CT、腹部超音波検査などの画像検査でクローン病の特徴を把握することで診断につながります。
  6. 【注釈】腸管の安静と食事からの刺激を取り除くのですが、一言でいうと、口から食べないと言うことです。腹痛や下痢などの症状が改善と消化管病変の改善が認められます。
    経腸栄養とは胃や小腸にチューブを挿入して栄養や水分を補給する方法です。経鼻経腸栄養、胃瘻、腸瘻などがあります。
    完全中心静脈栄養とは、生命維持に必要な糖質、アミノ酸、脂肪、ビタミン及び微量元素を含んだ栄養液を中心静脈内に直接投与する療法で完全静脈栄養法ともいいます。注射できる状態の栄養です。
    薬としては、抗菌薬(抗結核薬)、免疫調整薬、副腎皮質ホルモンが使われます。
  7. 【注釈】完全中心静脈栄養と言います。鎖骨の下にある静脈に管を差し込みます。生命維持に必要な糖質、アミノ酸、脂肪、ビタミン及び微量元素を含んだ栄養液を中心静脈内に直接投与する療法で完全静脈栄養法ともいいます。注射できる状態の栄養です。
  8. 【注釈】10歳代~20歳代の若年者に好発します。発症年齢は男性で20~24歳、女性で15~19歳が最も多くみられます。男性と女性の比は、約2:1と男性に多くみられます。
  9. 【注釈】口腔から肛門までの全消化管に、非連続性(飛び飛びに)の慢性の炎症が生じる原因不明の病気です。いわゆる自己免疫疾患で難病に指定されています。
    潰瘍性大腸炎とほぼ同じような病気なのですが、潰瘍性大腸炎が大腸のみに炎症が発生するのに対し、クローン病ではすべての消化管に炎症がおきます。
    腹痛と下痢が半数以上の患者さんでみられます。発熱、下血、体重減少、 全身倦怠感 、貧血、腹部腫瘤などの症状が出現します。また、腸管に瘻孔 (穴が開く)、 狭窄 、 膿瘍 などがおきたり、嚥下障害(のみ込みにくい)の自覚症状の合併もあります。くわえて、関節炎、虹彩炎、 結節性紅斑、肛門部病変など腸管以外の症状が出る場合があります。
  10. 【注釈】嚥下障害は良く知られている症状の一つです。
  11. 【注釈】下肢前面に出る紅斑で感染によります。以前は結核との関連性が指摘されていましたが、最近では小児の連鎖球菌感染症、サルコイドーシス、炎症性腸疾患が注目されています。
  12. 【注釈】臨床症状でクローン病を念頭に置き、小腸内視鏡、カプセル内視鏡、MRI、CT、腹部超音波検査などの画像検査でクローン病の特徴を把握することで診断につながります。
  13. 【注釈】腸管の安静と食事からの刺激を取り除くのですが、一言でいうと、口から食べないと言うことです。腹痛や下痢などの症状が改善と消化管病変の改善が認められます。
    経腸栄養とは胃や小腸にチューブを挿入して栄養や水分を補給する方法です。経鼻経腸栄養、胃瘻、腸瘻などがあります。
    完全中心静脈栄養とは、生命維持に必要な糖質、アミノ酸、脂肪、ビタミン及び微量元素を含んだ栄養液を中心静脈内に直接投与する療法で完全静脈栄養法ともいいます。注射できる状態の栄養です。
    薬としては、抗菌薬(抗結核薬)、免疫調整薬、副腎皮質ホルモンが使われます。
  14. 【注釈】完全中心静脈栄養と言います。鎖骨の下にある静脈に管を差し込みます。生命維持に必要な糖質、アミノ酸、脂肪、ビタミン及び微量元素を含んだ栄養液を中心静脈内に直接投与する療法で完全静脈栄養法ともいいます。注射できる状態の栄養です。

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