卵巣がんの体験談【すぷりんぐさん】

【BC019】
  • 当サイトは、個人の貴重な経験を発信・共有することを目的としています。最新の医学情報・治療方法などの情報を提供するものではありません。病状や経過、治療への向き合い方などはそれぞれ異なりますので、必ずご自身の主治医と相談してください。
  • 体験談は医師によるチェックを行っており、明らかな間違いや誤解を招くような表現はないようにしていますが、なるべく発信者の生の声をお届けするために訂正は最小限にとどめています。

すぷりんぐさんのジャーニー

すぷりんぐさんのプロフィール
患者との関係性   本人
病気発症時のご年齢 30代
性別        女性
居住地区      東京都

病名        卵巣がん
診療科       婦人科
治療箇所/部位   卵巣
初期症状      立っていられないくらいの下腹部の痛みと発熱がありました。ひどい生理痛だと思い、市販の痛み止めを服薬しました。 

すぷりんぐさんのジャーニー

すぷりんぐさんの体験談

病気の診断

初期症状が現れた時期:2021年8月 病気判明の時期:2021年12月

初期症状

立っていられないくらいの下腹部の痛みと発熱がありました。ひどい生理痛だと思い、市販の痛み止めを服薬しました。 

診察のきっかけ

もう痛みは治まっていましたが、万が一子宮頸がんだったらと心配があったので、病院で子宮頸がんの検査と、内診をお願いして卵巣の腫れが判明しました。(2021年9月)1
その後経過観察となりましたが、痛みが治まっていたのでしばらく通院しないでいたら、2021年12月にまた痛みが出てきて受診しました。 

病気判明

頭をハンマーで叩かれたような感じで、とにかくショックでした。先生からその後の現状や治療方法の説明も、聞こえていたけど理解できていなかったような、記憶があまりありません。家族が同席していたので、代わりに先生とやり取りしてくれました。 
そこから4日間一睡もできず、食欲もなくなり、このままではいけないと主治医の先生に相談し、治療が終わるまで心療内科を受診することになりました。 

治療方針の検討

検討時期:2021年12月~2022年9月

選択肢

まずは手術をして、組織検査をし、良性、境界悪性、悪性で手術部位を決定する。それによって化学療法が必要かどうか決まる、とのことでした。2

方針決定

まずは生きていたいとの希望を先生に伝え、標準治療3をしていくことに決まりました。妊孕性4については悩みましたが、仕方がないと諦めることにしました。 

治療のプロセス・結果 開腹手術

治療の時期:2021年12月

治療前の準備

手術まで一週間ほど期間があり、自宅で過ごして良かったのですが、体調が悪かったため、手術に向けて体調を整える事が必要でした。考えすぎると怖くなるので、家事や子育てをし、あまり考えないようにしました。検査は、血液検査、MR、CTをしました。 

治療中の出来事

手術は自分で歩いて手術室に向かうため緊張しましたが、これを乗り切れば良くなるから!と自分を鼓舞しました。リラックスするために手術室で聞きたい音楽をあらかじめ聞かれたことが印象に残っています。(すぐに麻酔で眠ってしまったのですが) 

治療等の感想

思ったより術後の痛みが強かったことがつらかったです。先生や看護師さんにその都度伝え、気持ちを汲んでいただけて、乗り越えることができました。 

治療等の経過

手術後は先生方に起こされた後、家族と一瞬会い、部屋に運ばれました。そこから一日寝たり起きたりを繰り返していました。むくみ防止で太もものマッサージ?が気になったのと、尿管の不快感、傷跡の痛みで、とてもつらく感じました。翌日に尿管が取れて、トイレへ歩く練習が始まりました。傷跡の痛みとの戦いでしたが、日に日に回復してくるのが分かり、一週間ほどで退院しました。 

感想と伝えたいこと

感想

病気になってよかったとは思えないけど、病気になって気づいたことはたくさんありました。日常で上手くいかないことがあっても「生きてるだけでまるもうけ」そして「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と少し楽観的になりました。今まで当たり前だと思っていた家族と一緒にいられる時間、会社に行けること、痛みを感じることなく過ごせることがどんなに有難いことか感じています。また、体に異変を感じた場合は、我慢せず病院を受診したり、先生に相談するようになりました。 

伝えたいこと

病気が判明し、不安でつらい気持ちになることもあるかと思います。先生や周りの人に気持ちを話したり、紙に自分の気持ちを書き出すと、楽になることもあります。大丈夫、一人じゃありません。トンネルの先には必ず光が見えてきます。 



  1. 【注釈】卵巣がんや卵管がんは初期の段階には症状が出にくいため、見つかったときには、進行している場合が少なくありません。それでも、お腹が張る、下腹部が痛い、トイレがちかくなった、下腹部にしこりが触れる、食欲がなくなった、不正出血がある、体重が増えた、服のウエストがきつくなった、おりものが増えた、脚がむくむ、便秘などの症状があれば、要注意です。ですが、症状が気になっても、抵抗感があり産婦人科受診しない人が半数近いともいわれています。思い切って受診しましょう。 ↩︎
  2. 【注釈】卵巣がんと卵管がんの病期は次のように分けられます。
    Ⅰ期:卵巣あるいは卵管内に限局している
    Ⅱ期:腫瘍が一側または両側の卵巣あるいは卵管に存在し、さらに骨盤内への進展を認める
    Ⅲ期:腹腔内で広がっている
    Ⅳ期:腹膜の外に転移している ↩︎
  3. 【注釈】卵巣がんや卵管がんが疑われる場合には、まず手術です。できるだけがんを取り除いてから、次に行う治療を決めます。多くの場合、手術の次は薬物療法です。手術の前に薬物療法でがんを小さくしてから手術を行うこともあります。放射線治療は、原則として再発した時の治療手段です。 ↩︎
  4. 【注釈】妊娠するための力を保つことに関しては厳重な線引きがあります。何よりも患者自身の命と引き換えることは考えません。
    [癌に関して]通常、両側の卵巣と卵管、子宮、大網を切除します。しかし、将来の妊娠の可能性を残したいという強い希望がある場合は、がんのない側の卵巣と卵管を切除せずに子宮を残します。
    [癌以外に関して]以下のことは必須確認事項です。妊娠可能年齢であり、妊娠への強い希望があること。妊孕性温存を選択したために再発の可能性もあることの確認。婦人科腫瘍に精通した婦人科の医師による厳重な経過観察を継続することなどです。
    妊孕性温存手術を希望するときには、担当医とよく相談することが必須です。 ↩︎

コメント