全身性エリテマトーデスの体験談【いずみさん】

【BC024】
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  • 体験談は医師によるチェックを行っており、明らかな間違いや誤解を招くような表現はないようにしていますが、なるべく発信者の生の声をお届けするために訂正は最小限にとどめています。

いずみさんのジャーニー

いずみさんのプロフィール
患者との関係性   本人
病気発症時のご年齢 20代
性別        女性12
居住地区      大阪

病名        全身性エリテマトーデス13
診療科       膠原病内科
治療箇所/部位   全身
初期症状      特になし

いずみさんのジャーニー

いずみさんの体験談

病気の診断

初期症状が現れた時期:2016年4月 病気判明の時期:2016年6月

初期症状

判明する数か月前から、「妙に疲れやすい14という感覚はありました。椅子に座っていてもしんどくて横にならないといけない、という強い倦怠感です。吐き気や頭痛などの目立った症状はなく、“ただただ体がだるすぎて座っていられない”というもので、30分~1時間ほど休めばデスクワークができる程度に回復することもあり、病院に行こうとも思いませんでした。頻度は1か月に数回あるくらいで「仕事も忙しいし疲れているなあ」くらいに思っていました。 

診察のきっかけ

会社の健康診断で、「尿蛋白」の数値が+3となり、「再検査」で戻ってきました。特に驚きもせず、「再検査って出た!」と同僚と話のネタにするくらいの感覚でした。同僚の中には「私なら行かない15という人もいて、面倒だし放っておこうかとも思っていましたが、「念のため行っとけば」という友人の一言で、再検査に行くこととなりました。 

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検査

健康診断をした病院で再検査を実施するも、やっぱり尿蛋白の数値が高い。「大きな病院で検査してください」と言われ、紹介してもらった病院で再検査することになりました。そこでもやはり尿蛋白の数値が高く、血圧も高いことから、腎臓の生体検査をすることとなりました。腎生検16の結果、全身性エリテマトーデスと判明しました。 

病気判明

腎生検は1週間ほど入院する必要がありましたので、その間に両親が心配していろいろ調べてくれていました。結果が出る前から親が「膠原病だったら専門の科がある病院に転院しようね」と言っており、なんか難しい名前の病気かもしれないんだな、というくらい他人事のような感覚でした。検査結果の説明も、親がメインで聞いていて、正直あまり覚えていないくらいです。検査入院を終えて、家でなにげなく携帯で病名を調べたときに、「難病17というワードを初めて目にしました。それは「えっ…」と声が出るくらいショックだったのを覚えています。また、続けてネットの検索候補に「SLE 余命」が表示され、「そういう感じの病気なの?」と一気に不安になりました。 

治療方針の検討

検討時期:2016年8月~2016年9月

選択肢

治療方法に複数の選択肢18はなく、ステロイドの服薬で膠原病19の勢いを一気に押さえ込むこと、そうすると免疫がぐっと下がるからその間1か月は入院が必要であること、などを伝えられました。 

方針決定

何もわからない状態で、このように治療していきます!と説明されたので、特にセカンドオピニオンを聞くこともなく、入院することとなりました。 

治療のプロセス・結果 腎生検

治療の時期:2016年8月

治療前の準備

腎生検を行う前に、先生からリスクの説明がありました。生体検査に伴う万が一のリスクについて、先生がイラストで説明してくださいました。「ここがもし傷付いてしまった場合、こう出血してしまって、そうなった時はこのように管を通して〜」みたいな説明だったかと思います。私は極度の怖がりのため、イラストを見ているとめまいと吐き気がして、涙が出てしまい、途中で部屋を退出して20説明や同意書のサインなどは親に任せました。麻酔もするしすぐ終わるから大丈夫と聞いていましたが、とても怖かったのを覚えています。 

また、尿道カテーテル21をする必要があり、それが痛くてとても嫌だったのですが、のちのち、病院によってはカテーテルなしで行うところもあると同じ病気の人のブログで知りました。選べるのであれば事前に知っておきたかったなと思いました。 

治療中の出来事

医師は必要な治療などは教えてくれるけど、どれくらい費用がかかるとか、医療費の助成制度とかは意外と詳しく知らない場合もあり、自分で調べないといけませんでした。特に自分できちんと申請しないと、かなり損をしてしまうような制度もあったので、資料や案内の窓口があるとありがたいなと思いました。 

怖いとか痛いのは検査がメインで、治療自体は服薬のため、毎日の採血以外は、苦手な刺すとか切るとかがなく、穏やかな入院生活だったのですが、退院後しばらくして、はじめて薬疹22が出ました。はじめは両腕→お腹・足→顔と発疹の範囲とかゆみが広がっていき、喉あたりまで来そうな時はさすがに「死ぬかも!」と思いました。しかも、薬は常時5〜6種類飲んでいるため、どの薬が原因かはっきりと判断もできない中で、2種類ずつくらい可能性が高そうなものから中止して様子みて、という中でようやくおさまりました。主治医からアレルギー反応が出やすくなってるので市販薬の服用もやめてほしいと言われ「薬こわい!」と思いました。 

退院後、周りの人に「もう治ったの?」と聞かれるたび、「治ってはないんですけど、まぁ大丈夫そうです!」みたいな変な説明になってしまい、上司や人事など、きちんと理解してほしい人には説明をするものの、治らないという部分の理解がなかなか得られない方もいて、もやもやすることもありました。 

治療等の感想

辛かったのは、病気になって、びっくりするくらい保険に入れなかったことです。その病気だと難しいですね…と選択肢すらない時期もあり、悲しかったです。 

よかったことは、減塩と水をよく飲む習慣がついたことです。腎臓に気を使うと、健康的な生活になるなぁと思いました。 

治療等の経過

入院後、1週間は毎日なにかしらの検査がありました。そのあと、ステロイドの服薬治療が開始しました。 

1ヶ月未満くらいで退院して、そのあと1ヶ月は自宅療養です。入院生活と同程度に安静に過ごす必要があり、免疫も低い状態で、出かけることもありませんでした。復職が近付いてきたこの時期は、仕事用のパソコンを開くのが怖く、家で1人でネガティブになってしまい、精神的にしんどかったです。 

2〜3ヶ月の休職後、残業はなしで復職しました。通院は2週間に1回から、月に1回程度になっていき、安定しだしてからは、2ヶ月に1回の通院を続けています。 

ステロイドの量も35ミリからスタートしましたが、約1年で10ミリになり、その後さらに1年ほどで5ミリとなりました。 

最近は自己注射の薬も始めましたが、週に1回の注射にも慣れて、薬代は自己負担の上限があるので、続けることができています。 

感想と伝えたいこと

感想

いい意味で自分に甘くなり、「SLEだし無理しないでおこう」とある程度力を抜いて生活できるようになりました。ワーカーホリック気味だったのですが、仕事でもプライベートでも無理をしないように(残業しない、疲れそうなことは避ける、引き受けない)意識するようになりました。 

伝えたいこと

情報収集が必須であることです。薬や治療方法ももちろんですが、利用できる制度や割引がないか、自分で調べる事は重要だと思います。ただし、インターネットの情報は偏りや誤りもあるので、最終的には主治医に気になったことはなんでも聞くようにした方が良いかと思います。  

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関連する体験談

Footnotes

  1. 【注釈】圧倒的に女性に多く、20歳代から40歳代に多いことが知られています。
  2. 【注釈】全身のさまざまな場所、臓器に、さまざまな症状を引き起こす病気です。発熱、全身倦怠感、疲れやすい、食欲不振、関節症状、赤い発疹、日光過敏症、口内炎、脱毛、そして臓器障害(腎臓、心臓、肺、消化器、血液、中枢神経系など)が一度に、あるいは経過とともに障害されます。原因は、まだわかっていませんが自己免疫疾患とされています。自己免疫疾患とは、本来、私たちの体を守る役目を持つ免疫が、なんと、私たち自身を攻撃してくるという厄介な病気なのです。このような病気のことを、自己免疫疾患といいます。
  3. 【注釈】初期症状には、発熱、全身倦怠感、疲れやすい、関節の痛みや腫れ、発疹、尿の異常、息切れなどの症状が多いようです。
  4. 【注釈】尿蛋白が±ならあまり心配しませんが、プラスが一つでも出れば、用心しなければなりません。まして+3は異常です。尿の異常は初期症状のひとつとして知られています。
  5. 【注釈】背中に針を刺して腎臓の組織を取る検査です。
  6. 【注釈】難病とは《その病気が、どのようにして起きるのかが明らかでなく、したがって治療方法が確立していないまれな病気で、しかも、長期の療養を必要とするもの》と定義されています。加えて、患者数が人口の0.1%程度と少ないこと、そして客観的な診断基準が確立していることも条件となります。
  7. 【注釈】ステロイド内服が第一選択であり、他にはこれといった治療法はないようです。ステロイドは、腎臓の上にある副腎皮質と呼ばれる臓器から分泌されるホルモンを化学的に作ったものです。一日5mg相当のホルモンが体内から出ていますので、5mgのプレドニゾロンを飲むということは、自分自身が毎日作っている量と同じ量を補うことになります。重症の人には、一日40-60mg位が必要ですが、軽症の人では10mg程度で有効です。最初に多い量で初めて徐々に減らして5mg前後を維持療法としてしばらく使用するパターンが一般的です。
  8. 【注釈】膠原病とは、一つの病名ではなく、共通する特徴をもつ病気の総称で、約20の病気が含まれます。代表的な病気には、「関節リウマチ」「シェーグレン症候群」「全身性エリテマトーデス」などがあります。
  9. 【注釈】インフォームドコンセントは難しいものです。微に入り細にわたって説明すると、患者は不安になる場合が少なくありません。ですが、ファジーに話しては、後から、聞いていませんでしたと、訴えられかねないのです。
  10. 【注釈】バルーンカテーテル、膀胱留置カテーテルともいいます。直径2mm程度のやわらかい材質で出来た管です。その管を、尿道から膀胱まで通して、入れっぱなしにします。膀胱に貯まった尿はそのカテーテルの中を通って、蓄尿袋に溜まります。
  11. 【注釈】それは大変でしたね。お薬を5~6種類飲んでいたとのこと。ただ、ステロイドは多分原因ではないでしょう。
  12. 【注釈】圧倒的に女性に多く、20歳代から40歳代に多いことが知られています。
  13. 【注釈】全身のさまざまな場所、臓器に、さまざまな症状を引き起こす病気です。発熱、全身倦怠感、疲れやすい、食欲不振、関節症状、赤い発疹、日光過敏症、口内炎、脱毛、そして臓器障害(腎臓、心臓、肺、消化器、血液、中枢神経系など)が一度に、あるいは経過とともに障害されます。原因は、まだわかっていませんが自己免疫疾患とされています。自己免疫疾患とは、本来、私たちの体を守る役目を持つ免疫が、なんと、私たち自身を攻撃してくるという厄介な病気なのです。このような病気のことを、自己免疫疾患といいます。
  14. 【注釈】初期症状には、発熱、全身倦怠感、疲れやすい、関節の痛みや腫れ、発疹、尿の異常、息切れなどの症状が多いようです。
  15. 【注釈】尿蛋白が±ならあまり心配しませんが、プラスが一つでも出れば、用心しなければなりません。まして+3は異常です。尿の異常は初期症状のひとつとして知られています。
  16. 【注釈】背中に針を刺して腎臓の組織を取る検査です。
  17. 【注釈】難病とは《その病気が、どのようにして起きるのかが明らかでなく、したがって治療方法が確立していないまれな病気で、しかも、長期の療養を必要とするもの》と定義されています。加えて、患者数が人口の0.1%程度と少ないこと、そして客観的な診断基準が確立していることも条件となります。
  18. 【注釈】ステロイド内服が第一選択であり、他にはこれといった治療法はないようです。ステロイドは、腎臓の上にある副腎皮質と呼ばれる臓器から分泌されるホルモンを化学的に作ったものです。一日5mg相当のホルモンが体内から出ていますので、5mgのプレドニゾロンを飲むということは、自分自身が毎日作っている量と同じ量を補うことになります。重症の人には、一日40-60mg位が必要ですが、軽症の人では10mg程度で有効です。最初に多い量で初めて徐々に減らして5mg前後を維持療法としてしばらく使用するパターンが一般的です。
  19. 【注釈】膠原病とは、一つの病名ではなく、共通する特徴をもつ病気の総称で、約20の病気が含まれます。代表的な病気には、「関節リウマチ」「シェーグレン症候群」「全身性エリテマトーデス」などがあります。
  20. 【注釈】インフォームドコンセントは難しいものです。微に入り細にわたって説明すると、患者は不安になる場合が少なくありません。ですが、ファジーに話しては、後から、聞いていませんでしたと、訴えられかねないのです。
  21. 【注釈】バルーンカテーテル、膀胱留置カテーテルともいいます。直径2mm程度のやわらかい材質で出来た管です。その管を、尿道から膀胱まで通して、入れっぱなしにします。膀胱に貯まった尿はそのカテーテルの中を通って、蓄尿袋に溜まります。
  22. 【注釈】それは大変でしたね。お薬を5~6種類飲んでいたとのこと。ただ、ステロイドは多分原因ではないでしょう。

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