間接リウマチの体験談【シマエナガさん】

【BC011】
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シマエナガさんのジャーニー

シマエナガさんのプロフィール
患者との関係性   本人
病気発症時のご年齢 10歳未満
性別        女性

病名        間接リウマチ
診療科       膠原病内科 
治療箇所/部位   自己免疫・関節
初期症状      発熱、発疹

シナエナガさんのジャーニー

シマエナガさんの体験談

病気の診断

初期症状が現れた時期:1986年7月頃 病気判明の時期:1987年10月頃

初期症状

発熱、発疹。 
発症時は、乳幼児だったため、自分ではわかりませんが、親から聞いた話では、発熱が続き、発疹も出ていたとのことです。 

診察のきっかけ

数日経過しても熱が下がらず、機嫌も悪く、次第にぐったりとしてきたことから病院を受診したそうです。 

診察と検査

症状が出てから、診断されるまでに、1年程かかったそうです。 
近所の小さな診療所の受診から始まり、総合病院など、いくつもの病院をめぐり、入院と検査を繰り返し、最終的にたどり着いた大学病院の小児科で診断を受けました。診断はついたけど、当時は決定的な治療法はなく、再発や再燃を繰り返す病気であること、大人になる前に死んでしまうこともあることなどの説明を受け、両親は「どうしてうちの子が?」と絶望したそうです。 

治療方針の検討

検討時期:1987年10月〜2024年5月

選択肢

投薬治療:免疫抑制療法1、ステロイド、抗がん剤治療薬の使用、金製剤投与2生物学的製剤3
外科的治療:滑膜除去手術4環軸椎固定術5、人工関節置換手術 

方針決定

発症当初は、治療法の選択肢も限られており、痛み止めや炎症を抑えるなど対症療法しかなかったが、それしかなかったので選択の余地はありませんでした。 

治療のプロセス・結果① 内科的治療(免疫抑制剤投与、ステロイド療法、生物学的製剤)

治療の時期:1987年頃〜現在

治療前の準備

内服薬の使用前には、特に事前準備はありませんが、免疫抑制剤は投与開始から効果が表れるまで数カ月かかることと、血中濃度の測定のために定期的に血液検査が必要です。 

治療中の出来事

免疫抑制剤については、内服開始してすぐには、特に変化を感じませんでしたが、次第に体毛が濃くなり、身体に何らかの作用はしているのかなと感じました。内服開始時は子供であったため、薬がとてもまずく、毎日泣きながら服薬していました。 
ステロイド内服薬は、とても苦いので、内服時はいつも身構えます。だけど、飲み始めると割とすぐに身体のしんどさも、少し楽になったように感じました。 
生物学的製剤は、自己注射なので、自分で自分に針を刺すことに慣れるのに時間が必要だった。 

治療等の感想

免疫抑制剤では、免疫が落ち、すぐに風邪をひいてしまうことが、日常生活に影響がでました。 
また、体毛が濃くなるなど、思春期には辛かった。 
ステロイド療法でも、免疫が落ちるので、風邪との戦いです。また、精神的にも影響が出やすく、気持ちをコントロールすることがすごく難しかった。 
生物学的製剤は、自己注射のため、自宅で自分でできるため、通院に時間や体力を奪われないことはよかった。 

治療等の経過

30代後現在も継続中なので、風邪とは日々戦っています。また、ステロイド療法では、中心性肥満6ムーンフェイス7バッファローハンプ8など、容姿起きる変化が嫌だなと感じます。思春期にはそれが耐えられず。自分が鏡に映ったり、写真に撮られることがすごく嫌でたまりませんでした。 

治療のプロセス・結果② 外科的治療(滑膜除去手術、環軸椎固定手術、人工関節置換術)

治療の時期:1995年〜2009年

治療前の準備

滑膜除去手術(1995年頃)は、両手首の炎症と痛み、腫れがひどかったため、手首の関節にある滑膜を除去する手術を行いました。事前準備は、レントゲンやMRI検査を受け、炎症がどの程度広がっているかを確認するかぐらいでした。 

環軸椎固定手術(2004年頃)は、リウマチの炎症が頸椎まで及んでおり、亜脱臼している状態だったため、それ以上悪化しないために、ボルトで環軸椎を頭蓋骨に固定する手術を受けました。事前準備としては、レントゲンやCT、MRIを受けて、脱臼の程度を確認しました。 

人工関節置換術(2009年)は、炎症が起きて変形していた股関節(右側)を人工関節に置き換える手術をしました。事前準備は、レントゲン、CT、MRIを受けました。 

治療中の出来事

特になし。 

治療等の感想

どの手術も、術後の痛みが非常に強くて、辛かったです。 

治療等の経過

滑膜除去手術は、関節を破壊する原因の一つでもある滑膜を除去したことで、手術部位のさらなる炎症や関節の破壊からは免れました。けれど、壊れた関節は元通りになることもないので、動かしづらいまま、壊れたことによる痛みも続きます。 

環軸椎固定手術を受けたことで、脊髄損傷の危険は回避できましたが、頭蓋骨とボルトで固定したため、首の可動域が限られ生活は不便です。とても必要な治療ではありますが、身体への侵襲と負担が大きいなと感じました。 

人工関節置換術で、破壊された関節を人工関節に置き換えたことにより、手術部位の痛みと炎症は落ち着きました。ただ、人工関節には寿命があることと、手術時の身体への侵襲と負担が大きいことはしんどいなと感じました。 

感想と伝えたいこと

感想

同じ病気でも、症状も経過も人それぞれで、同じ治療をしても、同じ結果が得られるわけではないのですが、気になることや心配なことは、どんなに些細なことでも構わないので、主治医の先生や看護師、薬剤師など周囲の方と相談して、自分なりに納得して選択していくことで、不安が和らぐと感じました。 

伝えたいこと

突然病気になると、色々な場面で、それまでの生き方とは、大きく違う変化を強いられるけど、病気になっても、自分の人生は続いていくので、全てを病気に左右されないで、自分自身がどう生きたいかは、常に自分でかじ取りをしてほしいなと思います。 

ゆっくり焦らずで、大丈夫です。 



  1. 【注釈】免疫は、私たちの体に細菌やウイルスなどの外敵が侵入してくるのを防いでくれます。その免疫が下がると、私たちは感染しやすくなります。にもかかわらず、免疫を抑制する必要に迫られる病気が有るのです。その一つが関節リウマチです。私たちの体の中にある免疫が、なんと、私たち自身を攻撃してくるという厄介な病気なのです。このような病気のことを、自己免疫疾患といいます。この場合には、免疫を押さえねばなりませんね。 ↩︎
  2. 【注釈】【修正 解説】金は白血球に取り込まれる性質があるので、薬の中に金を入れておくとそれを白血球が運んでくれるという理屈です。リウマチの薬としてはもっとも古くから使用されています。ちなみに、よく使われている薬の構造式はC₄H₄AuNaO₄Sですから、Au金が入っていますね。 ↩︎
  3. 【注釈】外敵と戦う物質の一つに、抗体と呼ばれるものがあります。コロナ・ワクチンは抗体を増やす注射です。生物学的製剤はその抗体を薬にしたものです。 ↩︎
  4. 【注釈】関節を構成する部位の一つに滑膜と呼ばれる膜があります。関節リウマチの痛みはこの滑膜の炎症から来ます。そこで、滑膜を切り取ることにより痛みを軽減させるのです。ですが、スムーズな関節の動きのためにある膜ですから。術後は関節が滑らかに動きにくくなります。また、2、3年で痛みが再発することが多いようです。最近(2024年時点)この手術は行われない傾向にあります。 ↩︎
  5. 【注釈】環椎軸椎回旋固定術 首の骨(頸椎)は7個ありますが、一番上を環椎、二番目を軸椎といいます。首を動かすと痛みが激しくなる症例では、この二つの頸椎を固定してしまいます。痛みは軽減されますが、首が回しにくくなります。この方は、頸椎が頭蓋骨とボルトで固定されたので、さらに首の運動制限があったでしょう。 ↩︎
  6. 【注釈】肥満は皮下脂肪型の肥満と内臓脂肪型の肥満に分類されます。中心性の肥満は内臓脂肪型の肥満です。腕や足などの末端部分よりも、体の中心である腹部、中でも内臓に多くの脂肪がついている肥満です。 ↩︎
  7. 【注釈】満月様顔貌と翻訳される医学用語ですが、顔が満月のように丸くなってしまう状態です。最もよく知られている原因はステロイドの副作用です。思春期の女性にはつらい経験でしたでしょう。 ↩︎
  8. 【注釈】野牛肩と翻訳されます。後頚部に脂肪沈着が起きて、あたかも野牛肩の様だと表現される状態です。ステロイドの副作用やクッシング症候群と呼ばれる病気で見られます。 ↩︎

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