
とまとさんのジャーニー
とまとのプロフィール
患者との関係性 本人
病気発症時のご年齢 40代1
性別 女性
居住地区 京都府
病名 アイザックス症候群2
診療科 神経内科
治療箇所/部位 全身
- 2007年6月~
2019年12月- 初期症状
- 診察のきっかけ
- 検査
- 確定診断
- 2009年2月~
2023年11月- 選択肢
- 方針決定
- 2019年7月~
2023年10月- 治療前の準備
- 治療中の出来事
- 治療の感想
- 治療後の経過
- 2024年12月
- 感想
- 伝えたいこと
とまとさんの体験談
病気の診断
初期症状が現れた時期:2007年6月(40代) 病気判明の時期:2019年12月
初期症状
子育ても落ち着いて温泉でも行こうかと思っていたときでした。
夜中に何度も起きる両脚のこむらがえり。
歩くとパンプスがすぐに脱げて歩けない。
電車の中で吊革につかまると手が吊革から離れない3。もう片方の手でなんとか吊革から離してエスカレータのベルトの上に手を乗せて温めながら曲がった指を広げていました。
両足の足首の可動域が狭まり階段を下りにくくなりました。
そのうちに全身の痙攣と硬直で夜も眠れなくなりました。
よく転ぶようになりあるきにくくなりました。
と次々と症状は出たのですが病気ではないと頑なに思っていました。
診察のきっかけ
友達や近所の方が杖をつきながら歩いてる姿を見て、病院に行くように勧めてくれても大丈夫だからと断り続け、車を運転していたので、一人の人友人がその身体だったら、病院に行けば障害者手帳がもらえて駐禁除外にしてもらえるよと言われたので病院に行きました。4
検査
初診は近くのお医者さんに行き、そこからすぐに大学病院を紹介してもらいました。
血液検査・MRI・初めの歩行時の様子。
針筋電図・表面筋電図・髄液検査・脳波等
もっと検査をしたと思いますがどの検査も異常なしでした。
一応考えられる病名は心因性ジストニア。もしかするとスティッフパーソン症候群とアイザックス症候群の可能性もあるが、筋電図上アイザックス症候群ではない5でと言われました。
家に帰りネットでスティッフパーソンを調べれば私の症状に当てはまると勝手に思い込んでいました。
しかし病気の進行が早く手足だけではなく息をするのも大変になってきました
発作時の状態はてんかん発作によく似ていますが、意識はあります。ただ首以外はどこも動かず声も出ない。
病名が分からないので病院も転々としました。
ステッィフパーソン症候群の疑いという病名で対症療法
というのも人に触られるだけで硬直6、温度差でも硬直、僅かな音でも硬直や痙攣。
お風呂は気持ちいいんだけど温度差なのか発作を起こす。
あまりにも呼吸困難7を引き起こす発作が多いので、主治医から気管切開しようかといわれるようになりました。
発作のために水分が取れなくなり点滴をしていたら血管が殆ど潰れてCVポート8を作りました。
又喉も硬直するために胃ろうも造設しました。
確定診断
2019年に病院を変わり診て頂くと、スティッフバーソンとしか分からないかも知れないが、次の日から
検査入院しなさいと言われて、次の日病院に着くと午後から針筋電図9の検査をしてすぐに
アイザックス症候群だと言われました。
やっと病名がついてほっとしました。しかも指定難病で100万人に1人の割合で発病する病気でした。
国内の患者数も今で100人ほどです。
治療方針の検討
検討時期:2009年2月~2023年11月
選択肢
発作の対症療法のための服薬。
服薬やステロイドパルスを試してみましたが、それだけでは症状を緩和することができませんでした。
病名も決まらないから免疫グロブリン療法などが出来ませんでした。
患者会の友達が使っている薬を聞いて主治医に伝えて使ってもらえるようにしました。
免疫抑制剤が効く無理でした。10
2019年に病院を変わり病名がアイザックス症候群と決まるとすぐに、免疫を徹底的に潰しましょうと言われその治療が始まりました。
方針決定
主治医と相談しながら薬の量を調整しています。
本当に稀な病気で対症療法しか出来ないです。
筋肉を使うと疲れてしまってすぐにダウンしてしまいます。なのでリハビリも恐る恐るしていました。
内臓も筋肉で出来ているので私の場合は胃や腸が動きにくくて、それを解消するのに薬の副作用を利用したりしていました。
膀胱も同じなのか発作を起こすと尿が出ない11ため膀胱留置型カテーテルをしています。
治療のプロセス・結果
治療の時期:2019年7月~2023年10月
治療前の準備
検査入院で病名が確定した後すぐに免疫療法が開始されました。
治療を受けるのに当たって免疫を落とす治療だから免疫が下がるから感染症にかかりやすいと言われました。
ただ藁をもつかむ思いで治療してもらう事にしました。12
治療中の出来事
治療をして1年半経った時に入院中治療に入る前に突然高熱を出し意識を失い、敗血症になり他の病院のICUに運ばれて生死をさまよいました。
その後も服用している薬の量を減らしたりしたのですが何回も敗血症になり、その度に生死をさまよったようです。
私はただ楽しい夢を見ていた記憶しかないのですが。
その中で脳梗塞になり目が覚めた時には喋れない、書けないという状態でかなり焦りました。
スマホでYouTubeを見ながら言葉を覚えたりして何とか中国人が語る日本語のような感じに喋ることが出来ました。
治療等の感想
点滴をするたびに敗血症になり生命を脅かされましたが、今僅かなステロイドだけで発作も起きず安定した日々を送っています。
辛かったのはてんかんのような発作です。起きるたびに意識飛んでほしいと願っていました。
治療等の経過
約6年前に治療を始め半年が過ぎたころ身体の倦怠感が少しましになっているのに気が付きました。
その1年後には病室内は自由に歩けるまで回復しました。
その後ステロイドの副作用で白内障と骨粗鬆症になり、肋骨や胸椎、腰椎の圧迫骨折その他諸々の骨折で、ベッドの上での生活が長く歩けなくなりました。
感想と伝えたいこと
感想
障害者手帳の申請をする為、医師に診断書を書いてもらうのに2年以上かかり、病名がつかなくて心因性ジストニアで申請したら又交付まで半年以上かかりました。最初に病院に行って半年も経たない間に歩けなくなり電動車いすになりました。
駅から家まで5・6分のところを杖をついて20分以上かかり、もう歩くのは無理!となったのですが障害者手帳もなく、介護保険の年齢でもなかったので電動車いすを自費で借りるしかないでした。
今から思うと無理してまで働かなくてもよかったのではないかなと思います。
私の病気は分かってもらえず看護師さんは精神的なものと思われていたようです。
今の主治医も認知行動療法をしてみたらなどと言われました。
でも精神科の先生によると自分で認知行動療法しているからやる意味ないよと言われました。
本当に精神的な事からくる病気だと未だに思われるのかと思っています。
医師の分厚い教科書に両方の病気とも、ほんの2,3行しか書かれていない病気です。
この病気の事をもっと知ってもらいたいです。
私はたまたま痛みを感じませんが大抵の方は耐え難い痛み13を伴います。
その時に適切な処置を簡単に家で受けられるようにしてほしいです。
ある注射薬が効くのですが副作用に呼吸抑制があり、基本的に病院でしか打ってもらえないです。
私は訪問医のご好意で訪看さんに打ってもらえるように、処方して頂いています。
出来れば地域で暮らすための受け皿をしっかりして頂きたいと願っています。
伝えたいこと
何かおかしいなと感じたら早めに病院に行ってください。
私も初め歩きにくさを感じて整形外科に行きました。しかし神経内科という科があるのを知らなかったです。
手足の震え、硬直や痙攣があれば神経内科に行かれた方がいいと思います。
今は患者会の活動で先生方も、この病気聞いたことがある程度にはなってきていると思います。
- 【注釈】 男女比は2:1。発症年齢は15歳~60歳と幅広いが、40歳前後が多い。遺伝することがあります。 ↩︎
- 【注釈】日本に 100 人程しか登録されていない、極めて珍しい自己免疫疾患で末梢神経の過剰興奮とされています。足がつった経験のある人は大勢います。あれは筋肉の《けいれん》です。筋肉が、波打つ様な筋の動きをすることがあります。《ミオキミア》と呼ばれる状態です。そして、手を握る動作は普通にできるのに、その手がなかなか開けないという、とても珍しい症状もあります。《ニューロミオトニア》と呼ばれます。アイザック症候群はこのような極まれな症状が組み合わさって現れる病気です。中でも診断には必須条件とされているミオキミアは「蠕虫の入った袋のような動きを呈する持続的な筋攣縮」と表現されています。とはいえ、これでわかる人はいません。動画が公開されていますので見ると参考になります。【動画 ミオキミア さざなみ様の皮膚】 ↩︎
- 【注釈】これが《ニューロミオトニア》と呼ばれる状態です。 ↩︎
- 【注釈】信頼できる解説によれば、自覚症状は以下のような内容です。脳神経:空間的・時間的記銘力障害、幻覚、近時記憶障害、不眠、感覚異常、複雑な夜間行動障害。
四肢、体幹:けいれん、ミオキミア、ニューロミオトニアなどの不随意運動。手足の焼け付く様な疼痛。
けいれんは睡眠中にも生じますが、運動や寒冷刺激で悪化します。筋痙攣・筋硬直が持続することで筋肥大を起こし、より強くなると筋力低下が見られます。
筋痙攣・筋硬直が進むと、歩行や体動が困難。自律神経:高体温、発汗過多、不整脈、動悸、排尿障害、尿失禁、腸閉塞、下痢、便秘。
その他:皮膚の色調変化、しびれ感。 ↩︎ - 【注釈】筋電図検査で、特有のミオキミア放電があり、血液検査で抗VGKC複合抗体と呼ばれる化学物質が検出できれば診断は確定とされています。 担当医は、病名を提示したうえで検査を行ったのですから、当時の筋電図には、ミオキミア放電が記録されなかったのでしょう。この時点で、スティッフパーソン症候群とアイザックス症候群を念頭に置けた担当医は優れています。 ↩︎
- 【注釈】音や接触などの体感によってだけで症状が誘発、悪化するとなりと、ステッィフパーソン症候群を疑っても思考過程としては致し方ない状況です。 ↩︎
- 【注釈】信頼できる解説を熟読しましたが、呼吸困難は見当たりませんでした。この方のレポートは、従来の解説を補足する貴重な内容です。 ↩︎
- 【注釈】皮下埋め込み型中心静脈アクセスポート。中心静脈カテーテルの一部で、抗がん剤や高カロリー輸液の投与に使用します。 ↩︎
- 【注釈】以前の筋電図検査では出なかった所見が得られたのです。よく言われますが、《後になる程名医かな》ということはがあります。以前に、アイザック症候群をも疑った医師はやはり優れていました。レベルの低い医者だったとは決して思わないで下さい。 ↩︎
- 【注釈】免疫グロブリン療法 については、評価が分かれています。 ↩︎
- 【注釈】排尿障害と尿失禁という、全く逆の症状があり得ます ↩︎
- 【注釈】難病情報センターの見解は次の通りです。治療法まだ確立されていませんが、第一選択は抗てんかん薬の内服とされています。抗てんかん薬が無効な場合や、激しい痛みを伴うけいれんがある場合は、ステロイドの注射や血液浄化療法が適用されます。免疫グロブリン大量療法 については、評価が分かれています。
ですが、まだ治療法は確立されていませんし、この方の自覚症状が既知のものと異なる部分があります。担当医が熟慮の上の治療が行われたと思います。 ↩︎ - 【注釈】手足の焼け付く様な痛み伴います。 ↩︎
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