重症筋無力症の体験談【けんけんさん】

  • 当サイトは、個人の貴重な経験を発信・共有することを目的としています。最新の医学情報・治療方法などの情報を提供するものではありません。病状や経過、治療への向き合い方などはそれぞれ異なりますので、必ずご自身の主治医と相談してください。
  • 体験談は医師によるチェックを行っており、明らかな間違いや誤解を招くような表現はないようにしていますが、なるべく発信者の生の声をお届けするために訂正は最小限にとどめています。

けんけんさんのジャーニー

けんけんさんのプロフィール
患者との関係性   本人
病気発症時のご年齢 10代
性別        男性1
居住地区      三重県

病名        重症筋無力症2
診療科       神経内科
治療箇所/部位   筋力に影響する部位

けんけんさんのジャーニー

【けんけん】さんの体験談

病気の診断

初期症状が現れた時期:1970年  病気判明の時期:1970年と2008年

初期症状

1970年3眼瞼下垂4による瞼が下がる(以降寛解)

2008年5眼瞼下垂。四肢の筋力低下(再発)

診察のきっかけ

(1970年)親が不調を感じ大学病院を受診

(2008年)再度不調を感じ自分で地域の拠点病院を受診

検査

(1970年)児童期のためよく覚えていません

(2008年)テンシロンテスト・血液検査6により再発が判明

病気判明

2008年の再発の際には寛解していたので「まさか再発」と驚きましたが、不調の原因が判明して判明ほっとしました。

治療方針の検討

検討時期:2008年未明~2011年3月

選択肢

再発判明後は「コリンエステラーゼ阻害薬の服用による治療継続。2011年には症状の悪化に伴い「胸腺摘出手術7」を行い、「免疫抑制薬ステロイドパルス療法8」を行う。

方針決定

インターネットで薬の副作用得かを調べ、主治医と相談してきめた。幸いに相談しやすい医師であったので。

治療のプロセス・結果:胸腺摘出手術

治療の時期:2011年3月〜2011年4月

治療前の準備

主治医から症状軽減の可能性の説明と専門医への紹介があった。検査は手術前に肺活量や抗体値(抗アセチルコリン値)の測定9などがあった。

治療中の出来事

初めての手術で体にメスを入れる恐怖心がありましたので、決めるまでに半年ほど時間を要しました。また居住地から離れた大学病院での治療であり、術後の経過診察が大変だと感じました。

治療等の感想

術後に胸骨の痛みがひどく、身動きが不自由であり、退院後は1月ほど自宅静養しなければなりませんでした。しかし長期の休みを取れたので、仕事を始めて長期休暇できたことは嬉しかったです。理解のある会社であったことが大きいと思います。

治療等の経過

症状が約2年ごとで悪化する傾向があり、その都度「ステロイドパルス療法」を行いますが、一時的な増悪により1~2週間程度は力が入らず生活に支障があることが苦痛です。10

感想と伝えたいこと

感想

患者も積極的に治療法や処方薬についての知識を得て、医師と相談しながら自分が納得できる治療法を自己決定することが大切だと感じます。医療の素人である患者の意見に耳を傾けられる医師が増えることを望みます。

伝えたいこと

この病気は以前の様に生死を分けるような病気ではなくなりました。治療法や新薬11もますます承認されています。だからこそ患者としても知識を得る努力が必要と思います。もし悩んだら患者会をどんどん利用してください。患者の先輩からの支援が受けられます。

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  1. 【注釈】男女比は1:1.15で女性にやや多く、2/3の患者は60歳以降に発症しています。 ↩︎
  2. 【注釈】筋肉は脳からの「動くぞ」という命令を神経から受けて動きます。その命令を神経から筋肉に引き継ぐコンセントの部分に故障があると、命令が届きませんので筋肉は動けません。コンセントの不都合が軽い時には軽症ですが、不都合が大々的であると筋肉はほとんど動けませんから、それが呼吸器に来ると呼吸困難になり一大事です。重症筋無力症は、このコンセントの筋肉側に問題がある病気です。このような状態が全身に生じると重症です。 ↩︎
  3. 【補足】10代 ↩︎
  4. 【注釈】重症筋無力症患者の初発症状は眼瞼下垂(瞼が下がる)が70%、複視(物が二重に見える)が40%くらいです。生涯、目の症状だけの人が約20%です。 ↩︎
  5. 【補足】50代 ↩︎
  6. 【注釈】重症筋無力症の診断には、[1]血液検査、[2]神経電気生理検査、[3]テンシロン試験、[4]CTやMRI検査が必要です。
    [1]血液検査では、約8割で陽性となる抗アセチルコリン受容体抗体と呼ばれる物質の測定を行います。陰性の場合は、抗Musk抗体などほかの抗体を調べます。[3]テンシロン試験:コリンエステラーゼ阻害薬のテンシロンは元は商品名ですが、現在では検査名になっています。本検査では、テンシロンを静脈注射すると、それまで寝た位置では頭を持ち上げられなかった患者が、短時間ですが、筋肉に力が入って頭を持ち上げられるようになるのです。 ↩︎
  7. 【注釈】重症筋無力症患者の15-20%が胸腺腫を合併し、逆に胸腺腫患者の25%が重症筋無力症を合併することが知られています。そこで、重症筋無力症の患者には胸腺の摘出手術が治療の一つと見なされます。 ↩︎
  8. 【解説】ステロイドパルス療法は大量のステロイド薬(メチルプレドニゾロン500~1000mg)を1回2~3時間で3日間、点滴する方法です。 ↩︎
  9. 【解説】重症筋無力症の診断には、[1]血液検査、[2]神経電気生理検査、[3]テンシロン試験、[4]CTやMRI検査が必要です。
    [1]血液検査では、約8割で陽性となる抗アセチルコリン受容体抗体と呼ばれる物質の測定を行います。陰性の場合は、抗Musk抗体などほかの抗体を調べます。 ↩︎
  10. 【注釈】約50%の人は日常生活に支障がないようになります。全体の20%近い人で寛解します ↩︎
  11. 【解説】ウィフガート(2022年5月から発売された、全身型重症筋無力症と慢性特発性血小板減少性紫斑病の治療薬)。ヒフデュラ(2024年1月から発売された、全身型重症筋無力症の治療薬)。 ↩︎

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