全身性エリテマトーデスの体験談【りんごさん】

【BC029】
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りんごさんのジャーニー

りんごさんのプロフィール
患者との関係性   本人
病気発症時のご年齢 20代1
性別        女性
居住地区      北海道

病名        全身性エリテマトーデス2
治療箇所/部位   全身

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りんごさんの体験談

病気の診断

初期症状が現れた時期:2002年春 病気判明の時期:2002年10月

初期症状

初期症状が現れたのは20代の頃、ネフローゼ症候群での入院したときだったと思います。同時期に喉ぼとけが腫れており、検査をした結果橋本病と診断されました。普通のネフローゼ症候群の治療だとあまり効果がなく、ステロイドのパルスをしたら症状が少しよくなったので、膠原病3の疑いがあるとは医師から言われていましたが、症状の診断基準が揃わないので、一旦保留ということでそのまま働いていました。 

診察のきっかけ

その後、結婚し、北海道に引っ越しをして大きく環境が変わりました。引っ越しをしてから毎月38度以上の熱が出て4、1週間程度寝込む生活が続いていました。腎臓の定期健診の際に医師に事情を話したところ、検査を薦められ、2002年10月ごろの検査により診断項目が揃い、全身性エリテマトーデスと診断されました。 

検査

採血、心電図、エコー等の一般的なものだった。過去に腎臓の精密検査を行っており、その結果があったので全身性エリテマトーデスの診断基準に合致したので、診断される助けになったと思います。 

病気判明

今までだるいとか、関節が痛い、毎月熱がでる症状が辛かったため、診断されたことにより正確な治療ができると安心しました。その時は落胆というより、ようやく楽になるかしれないと思いました。 

治療方針の検討

検討時期:2002年10月

選択肢

医師からはステロイドパルス療法5を提案されました。他に免疫抑制剤6による治療も紹介されましたが、その時はまだそこまでする段階ではないと、ステロイドパルス療法をすすめられました。 

治療のプロセス・結果 ステロイド

治療の時期:2002年10月~

治療前の準備

膠原病の専門科がない病院だったため、腎臓内科に通っていました。最初は入院をしてステロイドパルス療法を受け、その後、子どもを授かりたいと医師に相談したところ、免疫抑制剤を飲んでいるので妊娠出産は産科と小児科が連携している大きな病院が良いとのことで転院を勧められ、それをきっかけに現在も通院する病院に転院しました。 

その病院ではまず服薬している薬の整理から始め、ステロイドのみにしました。医師からは、1 年なんともなければ妊活を始めてよいと言われ、疲れを溜めないようにしたり、定期受診をしながら、数値も安定した生活を送ることができ、妊活を始めました。 

治療中の出来事

外来でステロイドの量を調整しながら使っていましたが、最初は量が多かったためムーンフェイス7の症状がでました。顔がおたふくみたいに膨れてしまい、見た目が気になりました。その後、だんだんと量を減らしていきましたが、傷の治り辛くなったり、指が痛くなり料理をするのは大変でした。 

治療等の感想

大量にステロイドを使うと体調は良くなりましたが、感染に気を付けなければならない8ことにナーバスになっていました。気を付けていても風邪やインフルエンザにかかってしまい、将来子どもができたときにステロイドを飲んでいて大丈夫なのか不安がありました。 
また、急に泣きたくなるような情緒不安定9な時期もありましたが、その原因がステロイドなのか、結婚を機に知らない土地に越してきて友達もいない環境のせいなのかは分かりませんでした。そういった時は犬を飼っていたのでそこで気を紛らわしたり、当時流行っていた掲示板に書き込んだりしていました。 

治療等の経過

今となっては、当時の治療自体は良かったのですが、最初から大きな病院に行っていればよかったと思います。別の病院で5年間治療を行っていましたが、その期間はちょっともったいなかったなと思う気持ちがあります。 
転院してからは子供が欲しいという目標があったので前向きに治療に望めました。不安はありませんでした。 

感想と伝えたいこと

感想

子どもができないかもしれないという諦めもあったので、何もいらないので健康になりたいと思っていました。その後強皮症10も発症し、辛いことも経ての自分だと思うようになりました。その病気のせいにして「何ができない」という考え方はしたくない、やりたいことはやっていける、自分の中でチャレンジできることは何かを考えるようになりました。病気だからチャレンジしていく、そういう想いが芽生え、病気になったからこそ好きなものを見つけることができ、病気だからこそ頑張れたのかもしれません。 

伝えたいこと

無理をせず、一人で悩まずに誰かと病気について話せる環境を作ってほしいです。病気について話すことが恥ずかしい、情けない、という気持ちもあるかもしれませんが、誰かと話すことで自分の気持ちを整理できたり、新しい気持ちに気付くこともあります。患者会への参加の機会を持てると、助けになることもあります。共に歩む仲間もいることを忘れずにいて欲しいなと思います。 



関連する体験談

  1. 【注釈】全ての年齢で発症しますが、とくに20~30歳代の発症が多くなっており、妊娠可能な年齢の女性に発症しやすい病気と考えられています。また、発症する人の男女比はおよそ1:9であり、圧倒的に女性が多い病気です。 ↩︎
  2. 【注釈】全身の様々な場所、臓器に、多彩な症状を引き起こす病気です。難病に指定されている、自己免疫疾患と呼ばれる病気の一つです。 ↩︎
  3. 【注釈】膠原病とは、一つの病名ではなく、自己免疫疾患の総称で、約 20 の病気が含ま
    れます。代表的な病気には、「関節リウマチ」「全身性エリテマトーデス」「強皮症」などがあります。 ↩︎
  4. 【注釈】初期症状として頻度の高いものには、発熱:、関節の痛みや腫れ、皮疹:、倦怠感:、尿の異常:、息切れなどがあります。 ↩︎
  5. 【注釈】ステロイドパルス療法は大量の副腎皮質ステロイドを1回2~3時間で3日間、点滴する方法です。 ↩︎
  6. 【注釈】免疫は、私たちの体に細菌やウイルスなどの外敵が侵入してくるのを防いでくれます。その免疫の抵抗力が下がると、私たちは感染しやすくなります。にもかかわらず、免疫を抑制する必要に迫られる場合が有るのです。それは、私たちの体の中にある免疫が、なんと、私たち自身を攻撃してくるという厄介な状況をもたらす病気なのです。このような病気のことを、自己免疫疾患といいます。代表的な病気としては関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎などがあります。この場合には、免疫を押さえねばなりません。ここで免疫抑制剤と呼ばれる薬が登場します。 ↩︎
  7. 【注釈】満月様顔貌と翻訳される医学用語ですが、顔が満月のように丸くなってしまう状態です。最もよく知られている原因はステロイドの副作用です。とりわけ若い女性にはつらい経験でしたでしょう。 ↩︎
  8. 【注釈】一言でいうと、ステロイドは何にでも効くぐらいの万能薬です。ですが、その副作用は実にたくさんあります。例えば、感染症、精神障害、糖尿病、ムーンフェイス・野牛肩、消化性潰瘍、骨粗鬆症、緑内障・白内障、高血圧などなどです。 ↩︎
  9. 【注釈】ステロイドでしばしば認められる副作用です ↩︎
  10. 【注釈】全身性エリテマトーデスと同じ仲間の自己免疫疾患で、皮膚が硬くなる難病です。 ↩︎

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